明日への扉

「ねぇ！ 何だったのよ！」



こうなったら、アイツに聞くしかない。



スタスタと二位の旗が立つ場所へ歩く篤史を、追いかける。




「別に… いいだろ。」



目も合わせず、素っ気ない返事。




なに？ その態度。


ちょっと、ムカつくんですけど。





「私が拒否したら、二位になれなかったでしょ？ 聞く権利くらい、あると思うけど。」




私が怒ったことを察知したのか、チラッとこちらを見た篤史。



そして


「色の黒い人…」



ポツリと呟いた。






「色の… 黒い人？」



思わず繰り返す。




確かにテニスで、真っ黒に日焼けしてたけど…




「あっ、そう。」



くるりと向きを変え、歩きだした。




「おい、まだいろよ！」



アイツの声が、背中ごしに聞こえる。




「借り物は、先に帰っていいの！ 真っ黒な女と一緒じゃ、アンタも恥ずかしいでしょ！」



振り向いてキッと睨むと、何故か苦笑いのアイツ。




全く… 失礼しちゃう！



連れて行かれて一瞬喜んだ、自分がバカだったよ。