明日への扉
「俺、おんぶします。」



柴田がしゃがみこんで、私に背中を向ける。



「い、いいよ。1人で歩くから。」



おんぶなんて、恥ずかしいよ…。




「おんぶだってよ。ヒューッ!!」



男子の誰かが、からかうように言った。




「うるせーっ! 俺がぶつかったんだから、責任あんだろ!」



柴田の声が、その場の空気を一喝し、シーンとなる。




「みんな、止めなさい。私が支えられればいいんだが、腰の具合がな・・。早く保健室に行った方がいいだろうし、それがいいだろう。柴田、大丈夫か?」



担任の先生は、おじいさんで、先生におぶってもらうのは私も不安だった。




結局先生にも促され、柴田の背中に体を預けた。



意外にも彼はヒョイッと立ち上がり、私を軽々と運んだ。





もう授業中の時間で、廊下には誰もいなくてホッとした。



おんぶされてるのなんて、やっぱり恥ずかしい。





「重いでしょ? …ごめん。」



彼にぶつかられて、こんな事になったんだけど。



なぜか謝っていた。









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