明日への扉
そっと立ち上がって、窓の外を見た。




雪が、積もってきてる。





雪……





ある事を思い出し、人目につかない場所の窓を、ソッと開ける。





積もった雪を掴んで、丸くしていく。




「冷たっ…」



篤史も、こんなに冷たい思いをしたのかな。





2つの小さな、白いボールをくっつけた。




目や口は… いいか。




あの時もらった雪だるまも、何も付いてなかったもん。









手のひらに隠して、そっと篤史に近づく。





そばに立った時、アイツが顔を上げて私を見上げた。




一瞬目が合ったけど、すぐに逸らして、彼の机の端に雪だるまを置いた。




そして出口へ向かった。





振り返らずに。









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