明日への扉
卒業したら、会える場所が無くなる。




それだけでも寂しかったのに。



そんなに遠くに行っちゃったら、街で偶然見かけるなんて事も… ないじゃない。








やだ、どうしよ。




鼻の奥がツン、として。



目が潤んでくる。







こんな顔、見られたくない。



そう思って下を向いたら、涙が頬を伝ってしまった。









「…泣くなよ。」




「泣いてないよっ!」



慌てて頬を拭う。







「泣き虫は… 変わらねーな。」




ギギッと、椅子のきしむ音がした。




ちょっと顔を上げると、篤史が近づいて来てた。





「なっ、なによ!」




「ん? 頭に、ゴミついてる。」





「…えっ?」




意外な言葉に、思わず頭を触った。




「そこじゃねーよ。 取ってやるよ。」



フッと笑って近づいて来た彼に、素直に頭を差し出した。








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