明日への扉
でも完全復活じゃない。


これから山登り。


最悪だよぉー…






気分を変えようと、山なみの景色に目を向けた。



すると、遠くのベンチに座ってる人と目が合った。




…柴田だ。




うわっ、な、何でコッチ見てるのよー!



慌てて目を逸らした。




こんな具合の悪いとこ見られちゃうなんて。



恥ずかしいし、情けないよ……






先生は無理なら残ってもいいと言ったけど、一人で待つのも嫌だった。




少しずつ気分も良くなって、自分のペースで歩いた。




「みんな、先に行っていいよ。私に合わせなくていいから。」



一緒のペースで登ってくれる、みんなに言った。




「別に早く行く必要もないし。みんなで、のんびり行こうよ!」



美穂の言葉に、じんわり心が温かくなる。



「そっ。それに先に行ったら、希のクッキー食べそこなうかもしれないし!」



純ちゃんの張り切った声に、笑った。






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