明日への扉
「お見合いなんて、もう来ないわよ! せっかくお話頂いても、ずっと断るから。」



ムッとして戻ってくる母に、思わず肩をすくめる。




「それにね、35才にもなると誰も声かけようなんて、思わないの! 頼みたいのは、これ!」



目の前に一枚の紙を差し出された。



「婦人会バザーの、お知らせ。可愛い絵を入れたいけど、入らないのよ。」




「……はいはい。」




よいしょっ、と立ち上がり、パソコンの前で操作する。





『35才にもなると、誰も声をかけてくれない』か……



痛いところを突いてくるな。




確かに自立した女性が増えてきて、世間の目も変わってきている。



昔はずっと一人だと、どんどん片身が狭くなったらしいのに。



今では、「あの方は自立してらっしゃるし。もう結婚なさらないんじゃない?」


なんて、周りが勝手に決めてしまう事がある。





別に




一生独身と決めたわけじゃ、ないんだけどなぁ…







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