明日への扉
すぐ側に、上皿両てんびんを発見。



時間つぶしに、両方の皿に重りを乗せ、バランスをとってみた。



でも微妙なバランスで、きれいに水平にならない。



んー…



右に小さいの、乗せてみるか…



重りを選んでいると



『カタン!』




急に右の皿が、ガクン、と大きく沈んだ。



バランスをとるには大きすぎる重りが、知らない間に乗ってる。




後ろに人の気配を感じ、顔を上げると…




口角を少し上げて私を見てる



篤史と目が合った。





…へっ?…


何でココにいるの?



さっきまで、向こうに居たはず…






いつもなら


『何すんのよ!バランス崩れちゃったでしょ?』


って、怒って見せるんだけど。





なぜか、その時は黙ったまま



その大きく傾いた天秤のバランスをとるべく、左の皿に重りを乗せた。



でもやっぱり水平にならず、今度は左が少し下がる。



すると、篤史が重りを取り、そっと右の皿に乗せた。



一瞬水平になったと思ったら、また右へ下がる。







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