明日への扉
「うわっ!」



上の方から声がして振り向くと、人が波のように押し寄せて来た。



三段ほどの階段があり、一番下に居た私は、勢いで壁の方に押された。



うわっ、つぶされる!!



身体に力を入れ、思わず目をつぶった。





………あれ?



すぐ側に人の気配はあるけど、圧迫される感じがない。



そっと目を開けると…



誰かが壁に両手をつき、私を包むように空間を作ってくれてる。



顔を上げ、その人の横顔を見て



動けなくなった。




こんなに近くで見たの、初めて。



篤史の、顔。







「危ないでしょ! 気を付けてよね!」



「わりー、わりー!」




ボンヤリと篤史を見てた私は、美穂たちの声で現実に引き戻された。



幸い誰も転ぶことなく、みんなで体勢を立て直す。




「あ、ありがと。」



一応、お礼言うべきかな…




「…髪、乾かせよ。風邪ひくぞ。」



篤史は私と目も合わせず、それだけ言って離れて行った。





髪は…もう乾いてるよ。




そっと髪を触ると、シャンプーの薫りがした。







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