明日への扉
その夜は、みんなで眠れる最後の夜。



色んな話をしたけど、さっきの出来事は、何故か話せなかった。






翌日、帰りの列車の中でも、私達のおしゃべりは止まらない。




そんな時、急に前の席の男子が立ち上がり、こちらを振り向いた。



クラスで一番身体の大きい、松田だ。



何故か私を見て、ニヤッと笑う。



「何よ、ニヤニヤして気持ち悪い!」



「…石川のこと好きだって言ってる奴、いるぜ。」



更にニヤニヤして話す、松田。



「えっ? …だっ、誰よ。」



そんな冗談みたいな話、無視すれば良かったのに。



ある人の名前が浮かんで、つい聞いてしまった。




「小野だよ!」




「…へっ? …あっ……そう…」



一気にテンションが下がる。



何を期待してたんだろ。


そんな事、あるわけないのに…




「どーするよ? 石川!」



松田が身を乗り出してくる。



「別に。どーもしない。」



それだけ言って、外の景色を見た。






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