明日への扉
これって… 私に作ってくれたって、思っていいのかな…




「顔が…ないよ。」



何となく照れくさくて、そんな事を言ってしまう私。



「うるせっ。手が冷たかったんだよ!」



言葉は乱暴でも、怒った声じゃない。




少しずつ溶けていく雪だるまが、太陽の光に照らされてキラキラ光る。



「可愛い…」



目も口も付いてないけど。



すごく嬉しくて、そっと雪だるまの頭を触った。




でも、どんどん溶けていく…





プリントを配るため、後ろを振り向いた純ちゃんが、雪だるまに気付いた。



「あっ、柴田ー。なに雪なんか持ってきてんのよ! 希の机、濡れちゃったじゃん!」



純ちゃんは篤史のテストプリントを奪い取り、水になってしまった雪だるまに近づけた。




紙は、水をスッと吸い上げ


机には、何もなくなってしまった。




そのプリントを純ちゃんから返されても、篤史は怒りもせずに、黙って受け取った。




篤史のプリント… フニャフニャになっちゃった…






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