ベイスボール
桐原は無言で佐野をおぶりながら話を聞いていた。


「私、宮之阪先輩を三振に取った後に選手を辞めてマネージャーになったんです。」


「何で?」


桐原が呟いた。


「あの対決が私を一時の高校球児にしてくれたからです。」


佐野は目を瞑りながらそう答えた。


「やっぱり私は野球が好きなんです。だから今後も野球に携わりたい、野球をしている女の子の役に立ちたいと思って‥。だから女子野球部の指導者になろうって思ったんです。」


「ふっ‥。その前にお前は現代文教師だけどな。」


桐原はクスッと笑った。

桐原は佐野を家に送り届け自宅に帰った。


桐原は押し入れから大きなダンボール箱を取り出した。


そのダンボールには現役時代のグラブとユニフォームが入っていた。


そのグラブとユニフォームを通勤用のカバンに入れた。


そして桐原は目覚まし時計をセットして眠りに就く。


目覚まし時計のアラームは朝の5時にセットされていた。
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