ベイスボール
「桐原先生。ここが用務員室です。」


新任式が終わり、桐原は教頭に学園施設の紹介を受けていた。


「蛍光灯や電球等は用務員室のパソコンを使用して発注して下さい。」


「は、はぁ‥。」


桐原はまだ状況を飲み込めていない。


「桐原先生。もう一点。ちなみに野球部の話なんですが‥。」


「は、はぁ‥。」


「我が学園のグラウンドは強化部であるソフトボール部の使用しか認めません。」


「は、はぁ‥。」


「したがって野球部の練習等はグラウンドの隣にある空き地を使用して下さい。」


「は、はぁぁぁぁ!?」


桐原はやっと我にかえった。


「あの‥。グラウンドの整備やバックネット等の設備はどうするんですか!?」


桐原は慌てて教頭に尋ねた。


「学長の命令で我々学園側は野球部に定期的な部費提供以外は一切干渉しないという規則になっています。ですのでグラウンドの整備や設備は全て桐原先生にお任せします。」


教頭は桐原そう伝え、桐原に通帳を手渡した。


「通帳には5万円入ってます。そして部費は月々3万円振り込まれます。それで上手くやりくりして下さい。」


ちなみに公立中学校の野球部でも多いところは年間50万近い部費が与えられる。


新設の女子野球部とはいえ[私立高校・野球環境0・硬式野球部]の3点から考えると明らかに部費は少ない。


桐原は綿貫に言われた3つの条件を思い出した。

(3つ、ゼロからのスタート‥。)
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