∞嘘∞

「誕生日プレゼントに素敵な彼女が出来るといーよねー」


待ち合わせ場所に現れたイノウエは
相変わらず愛想のいい子犬のようにケラケラと笑いかける。
もう一人一緒に現れた若い男の子はイノウエの後輩だと紹介された。

「ナオトです。21歳です。イノウエさんにはお世話になっております。」

見るからにチャラいが、凄く礼儀正しい印象を受けたのを覚えてる。


「今日はナオトの友達がくんねんて。
若い子やっ♪あ、加齢臭してへんか俺?」

「大丈夫だよ。既に香水きつくて鼻曲がりかけてるから」

「もうっ!ノゾミったらっ!」



凡そ20分後、一目惚れするなんて
そして苦しむ日が来るなんて
この時の俺は気付きもせずに、飲みかけの缶コーヒーをぷらぷらさせていた。
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