手-hand-
今になって思えば
わかるようなコトとかも
あの時のあたしは
自分しか見えてなくて
「もし?俺だけど」
『なに?』
「悪ぃ、まだ仕事終わんなくてさ。今日ムリかも…会うの」
『そっ…か』
「でも明日は…」
『いいよ、大丈夫』
「けど…」
『そんなムリして会ってくんなくていいって(笑)』
「つーか、ムリしてでも会いたくねぇの?お前は」
『別にもぉ、そんな関係じゃないじゃん?(笑)』
「…何その冷めた返事」
『違うって(笑)わかってるからって意味』
「何を」
『歩夢が忙しいコトも今が大事な時だってコトも』
「……」
『だいたい2年も一緒にいるんだし…今さらでしょ?(笑)』
2年も一緒にいたのに
何も見えてなくて
いつも自分のコトだけで
どんなコトを思って一緒にいてくれてたのかも
あたしはわかってなくて
「…また連絡するわ」
『うん。頑張ってね…仕事』
「…あぁ」
電話越しの声から感じる見えない歩夢の想いに
気付かない振りをしてる
そんな自分もわかんなくなってた