【実話】星になったキミへ

母強し

次の日、朝一番で産婦人科へ。

周りを見回すと、幸せそうにお腹に手をあてる女の人が目立つ。


それに付き添う男の人も…


゛私にはありえないな…″


とっさに、そう思ってしまった。


まだ、゛産む″とも゛おろす″とも決めていないのに…


そう思えてしまう自分が悲しくて、可哀想で、不幸に思えて仕方なかった。

惨めさで下を向いていると、


「杉田さーん」

あ、私だ。
「はい」


「こちらに入って、下着を取ったら、こちらの椅子に腰掛けて下さいね。」


「あ、はい…」


どきどきしながら、椅子にまたがった。


゛なんか、入ってくる…″


「はい、右上のモニター見てくれる?」


「…はい」


「ここに赤ちゃんの袋が見えますねー」


「………………」


やっぱり……


思わず、手で顔をおおってしまった。

涙がこぼれる。


「はい、じゃぁ、下着を着けて、隣の診察室に入ってくれるかな」………………………………………

「今、妊娠9週目に入ったところですよ。おめでとうございます。」


゛めでたくないし…″

素直に心の中で呟いた。


「杉田さんは産むつもりなの?」


「え…」


「なんだか、迷ってらっしゃるみたいね。ご結婚されてるのかしら?」


「いえ、してません」

「そう…彼とよく話して決めなさいね。堕胎をする時は、受付に電話をして予約をとって下さいね。」


一通りの説明を受けて、診察室を後にした。
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