【実話】星になったキミへ

さようなら、赤ちゃん

吐き気で目が覚めた。

「うっ…」


横にあった洗面器に、思い切り嘔吐した。


そうだった…

もう、赤ちゃんいないんだな…


手術の事は、麻酔で何も覚えていない。


「杉田さん、目が覚めましたかー?」


「あ、はい」


「気分治ったら、帰っていいですからね」


赤ちゃんがいなくなった事はかなしい。


だけど、今の私達には無理だったんだ。


ごめんね、赤ちゃん。
ごめんね…



「ありがとうございました」


母と一緒に産婦人科を後にした。


健は、仕事で来れない…との事だった。


勿論、堕胎費用も母が出した。


健が来ない事に対しても、費用を出さない事に関しても、堕ろすという事に関しても、母は何も言わない…



私も、何も言って欲しくなかった。


健のしてる事は、最低だとわかっている。


健はみらいが言うようにダメな男だ。


それは、自分でもわかっている。


けれど、健の時折見せる優しさも本物なのだ。


一緒に居たいと思うから…


ごめんね、赤ちゃん…
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