【実話】星になったキミへ
次第に、目は部屋の中を物色し始める。


死ねる道具を探していた。


もう、自分を慰めるためのリスカはしない。

確実に命を絶てる物が欲しい。


゛あれ、どうかな?″

目についたのは、水銀とシリンダーだった。

体温計を割る。


下の方に、上手い具合に水銀が溜まっている。


゛これをシリンダーで吸い上げて…″と。


水銀はシリンダーに少しだけ溜まった。


゛水銀って飲んじゃ駄目とか言うし、これを静注すれば、死ねるんじゃない?″


安易な考えだが、理にかなってると思う。


駆血帯が無いので、ヘアゴムできつく二の腕をしばると、血管を探した。


こういう時ってなかなか見つからない。


゛…あった″


ゆっくり、針を入れていく。


血が逆流してきた。


゛入った!!″


目を閉じ、死への後悔はないかを確かめる。

゛健が私の世界の全て。健がいないのなら、生きている価値がない…″


私は、ゆっくり水銀を静脈のなかへと注入した。
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