【実話】星になったキミへ
すると、かなさんが、

「どっか行くのー?」

「えっと、開放に移る事になったんです。」

「マジ!?良かったじゃん!日に日にやつれていくからさぁ、心配してたんだよ。」


「だって、全然ゆっくり出来ないじゃないですか。常に゛監視″されてるし。かなさんは、よく平気ですね。」


「んー。平気というか、慣れ…だね。」


「慣れ…ですか?」


「そう。最初から、平気なわけないよ。私だって、逃げ出したかったよ。でも、逃げれないんだ…私は、ホントに頭がイカれてるからね。先生のお墨付き。」


「かなさん…」


「あはは。そんな顔しないの!私は、この病気になって感謝してるよ。だって、先生に出逢えたんだもの。りんちゃんも、感謝する日が来るよ。この病気になった人は、人の傷みがわかるからね。思いやれる人間になれる。それって、凄い事なんだよ。だから、頑張りなさい!」



「かなさん、凄くいい事言ってるんですが…」


「ん…何?」


「鬱病持ってる患者に『頑張りなさい』はタブーですよ…」


「あ、そっか。ごめんねー。じゃ、ほどほどにー。」


それもどうかと思うが…


何はともあれ、私はやっと、閉鎖病棟から開放された。
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