今川焼
何気なく駅前まで歩いてきてしまった。
その間に弾む会話もなく。
途中何かを言い掛けてやめた涼を問いただしたが、言いずらそうに口をモゴモゴさせて…
…それっきり無言…
特に遊べるようなスポットもない田舎の駅前だけあって、自然と足はそこに向かっていた。
「ゲーセンとか来る?」
「めったに来ない。」
「プリクラとかは撮らない…よね。」
「悪かったわね。」
涼に女子高生らしさを求めたのは間違いのようだ。
それから俺達は財布にも手を掛けず、店の中を回った。
何度も同じ場所をグルグルと、お互いに退屈さを何となく察していただろうに…
結局その日、涼は何も話さなかった。
「あっ、あれ純君達じゃない?」
「ホントだ。」
ゲームセンターの一角にあるベンチに純と恵は不機嫌そうに居座る。
話し掛けるのに躊躇ったが、恵が俺達の方に気付いた。
「こっちこっち!」
自分達の険悪なムードを俺達で晴らすためだろう。
恵は力一杯に手招きした。
「ケンカしてんの?」
「……別に。」
2人の時ですらマトモな会話こそなかったが、人数が増えたところで状況が一変することはなかった。
「みんなで遊ぶ?」
「…そういう雰囲気じゃなくない?」
「…………」
場を和ませようと恵が言った言葉に、涼は鋭く追い討ちを掛けた。