今川焼
純の言葉で俺のキャンパスに想像画を描くのは無理に近かった。
しかし、一度気になり出した想像の拍車を止めることもできず
「斉藤、ちょっと借してっ」
昼放課の眼鏡っ子が素顔で助かった。
俺は斉藤の机から眼鏡を拝借し、自分の顔のサイズとフレームの対比に気を遣い、レンズだけを目に透かして……
「おいっ……今の見たか?」
……米粒を人間だと認知した頃。
すでに金髪ハゲは横たわっていた。
「どうなったんだ」
「おまえ今の見てなかったの!?」
「何があったんだよ!!」
「よく分かんねえけど、すげえ変な蹴りがキマってハゲがブッ飛んだ!!」
純の発言は先程よりも想像しにくい光景を思い描かせた。
でも、それが確かな証拠にハゲが校門から数メートル離れた先のグランドで意識を失っていた。
「…アイツ強すぎだろ」
ハゲから視線を逸し、はっきりとした感覚で見た先には……
「えっ…………ウソだろ?」
そこに居たのは、眼鏡という仮面に身を包んだ1人のオタクだった。