今川焼
 
一つは客としての注文。

一つは妹への土産。

一つは敗北からの悔しさ。

もう一つは…




…絶対に勝ってやるという決意表明…




…というのは言い訳で、4つ頼んだ心境の大半を見栄が占めていた。

案の定、妹は突込む。


「何で嫌いな物を?しかも4つ?」


心の内を探られることもないだろうが、上手い返答が浮かばなかった。


「とにかく全部お前にやる。」

「変なの。」

「うるせえ。」

「まあいいや、ちょうど買いに行くところだったし。ありがとう。」




兄妹という枠組みを省いても俺より奴が男として上なのか…




そんなことは口が裂けても聞けない。

無論、問いただした時点で俺の負けは確定したようものだ。
 
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