例えば、それが奇跡なら…
「どうしたの?」


紗英は無理に柚葉を起こそうとはしなかった。


カーテンを開け、窓も開けた。


二人にとって気持ちのいい風が入ってきた。


「いらない…。ごめんね。」


柚葉はキーホルダーを掌にのせたまま言った。


「私も、いらない。」


紗英はキーホルダーを受け取らなかった。

「いらないなら、捨てていいよ。」


紗英は気楽に言った。

「なんでいらないの?」

柚葉の質問に紗英は笑いながら言った。

「だって、昨日同じ物買ったから。」
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