例えば、それが奇跡なら…
快は病室の入口に立っていた。


「中…、入らないの?」


柚葉は感情を出さずに言った。


「柚葉…。痛い?苦しい?」


……。


柚葉は黙ったまま快を見つめた。


「柚葉、どうしたの?何で黙ってるの?」


快はそう言うと柚葉の手を握ろうとした。


「触らないで…。」


快の手から自分の手を遠ざけた。
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