例えば、それが奇跡なら…
「先生!タケさんが!タケさんが!」


病室ではトモエおばさんが取り乱していた。


先生はタケさんを見るなりすぐに紗英に指示をだした。


「早く!!運ぶんだ!」


看護婦達はタケさんを移動用のベッドに乗せた。


「あぁ!タケさん…!」


トモエおばさんは後について行こうとした。


紗英は黙って首を横にふった。


その後に先生は言った。


「死なせない…!」


トモエおばさんは取り乱しながらも、キーホルダーを握りしめていた。



「お願い…。もう私から…誰も奪わないで…。」


「お願い…。お願い…!」
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