例えば、それが奇跡なら…
柚葉が余命二ヶ月と宣告されてから一週間が過ぎていた。

「お母さん!ほら、見て見て!新しい人だよ!」

「はいはい。」

母親は呆れながら窓際に近づいた。

「ほら!あそこ!白い車に乗ってる人。」

「あら?業者さんかしらね?」

柚葉は入院してからずっと窓から中庭を眺めている。

おかげで中庭を通る人や、業者の顔は覚えてしまった。


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