例えば、それが奇跡なら…
「奇跡?」

「うん。おまじないみたいなものね。」

看護婦は柚葉の顔を見た。

「あげるよ。でも、私の名前を当てたらね。」

そう言うと看護婦はさっとネームプレートを隠した。

「神藤 紗英‥。」

柚葉はとっくに名前は覚えていた。

看護婦の紗英さんは、名前を覚えてくれていた柚葉をかわいがっていた。

だからこそ、名前を覚えていた事が紗英さんには嬉しかった。
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