桃色ドクター【番外編】
合コンで会った女子大生も、
取引先の美人受付嬢も、
こんな俺を知らない。
かっこつけて、甘い言葉を囁く姿しか知らない。
本当の俺は
かっこわるくて、弱くて、自分に甘いダメ男。
香織しか理解してくれねぇんだよ。
俺は香織に甘えすぎていた。
「香織…… 愛してるから」
もう、俺の『愛してる』も通用しない。
俺は、香織と過ごした数年間を振り返りながら、
携帯電話に登録されている一夜だけの女達の番号を消去した。