桃色ドクター【番外編】
花見の後、俺はまた向かってしまった。
あの場所へ。
香織のマンションの前。
このままではいけない。
香織の気持ちを何も確かめもせず、うじうじ失恋気分になっていた。
香織の気持ち……
まだ何も聞いていない。
あの愛が嘘だったとはやっぱり思えない。
香織は今も俺を待っているんじゃないか?
信号で停車すると、俺は窓を開けて、春の風を感じた。
心地良い風と、春の匂い。
足りないのは、香織の温もりだけだった。