桃色ドクター【番外編】
俺は香織のおでこに自分のおでこをくっつけて、すぐ近くから香織を見つめた。
「香織・・・・・・」
心の中ではいつも呼んでいた名前だが、直接香織に『香織』と呼ぶのは初めてだった。
俺は、まだ香織が俺を必要としてくれているのだと確信していた。
「話が・・・・・・ある」
話はたくさんあるんだ。
今朝、飲もうと思ったコーヒーを白衣にこぼしてしまったこととか。
買ったばかりの枕が合わないこととか。
最近、夜中に何度も目が覚めることとかさ。
今でも、俺は君をとても好きだってこととか。
真剣に結婚したいと思ってるってことも、ちゃんと伝えたい。
でも、由美子との関係もまだはっきりとできていなくて、もう少し香織に迷惑をかけてしまうかも知れない。
話したいことは山のようにある。
こんな俺だけど、愛してくれるかい?