桃色ドクター【番外編】
好きになってはいけないと思っても、自分の感情をコントロールできないのが恋だと……
香織に出会って、わかった。
俺は自分の感情をコントロールするのが得意だったし、割り切って気持ちを整理することもできる男だった。
でも、香織だけは無理だった。
婚約者がいるから……と何度も自分に言い聞かせたが、俺は香織に惹かれていった。
相手は患者なんだからと、自分を止めてみたが、俺は止まらなかった。
知りたい、触れたい、俺のものにしたい。
こんな気持ち、初めてだった。
次にいつ会えるんだろう、と香織が診察室を出て行くときにいつも考えていた。
手を伸ばし、抱き寄せて、このままここにいてくれとすがりたかった。