桃色ドクター【番外編】
車の鍵を開け、ふっと息を吐いた。
どこからか聞こえた声に振り向いた俺。
聞き間違えだとしたら俺は相当平野さんにハマっている。
平野さんの声が聞こえたような気がした。
「あれ?」
周りを見回したが誰もいない。
疲れているんだな、俺。
あぁ、もう別れよう。
由美子と正式に別れるべきだ。
その時、俺の視界に入ってきたのは、平野香織……
俺の会いたい人だった。
「やっと、来てくれた・・・・・・」
走ってきたのだろう。
平野さんは肩を上下に動かしながら息をしていた。
「瀬名先生……!!」
俺は一歩平野さんに近付いて、嬉しさを隠すように深呼吸をした。
「平野さん!!遅いですよ」
今まで見たことのない女らしい服装の平野さんに俺はドキドキしていた。
白いコートがかわいらしい。