桃色ドクター【番外編】
俺が強引にこのまま平野さんにキスをしてしまうんじゃないかと平野さんは恐れているはず。
俺だって自分が止められなくて困ってる。
「彼女と別れるのとは訳が違う。婚約を解消するってすごく大変だもん。家族と家族の問題でもあるし、先生のご両親も悲しまれます。お医者さんの家庭ってよくわからないけど、やっぱり家柄とかも大事だと思うし、私は絶対に無理です」
俺を心配して、俺を拒否している。
それがわかるからどうしてももっと好きになってしまう。
「君の気持ちはわかった」
俺はハンドルを握り、深呼吸をした。
ゆっくりと車を走らせた。
高鳴る胸の鼓動を意識しないように自分に言い聞かせた。