━好きになってはいけないヒト━
――しばらくして、
しびれを切らしたあたしは、目の前にいる
かっこいい彼にとりあえず話し掛けた。
「ねえちょっといい?
あたし、そこ通りたいんだけど」
その言葉に、かっこいい彼は振り向きこう言い放った。
「は?なんで?」
「え、通りたいからに決まってるじゃん」
「通りたいって言ったって、俺は今、彼女待ちなんだ。だから君がここを通るのはムリ。
てかここ出口じゃないでしょ。ほかのところから出なよ」
「……だから?
嫌に決まってるでしょ、そんなめんどくさいこと」
「…そんなこと言われても」
「だってまだ来てないし、来る気配ないよ?」
「……違うって。
もうちょっとで来るはずなんだ」
なんて……、
あたし達はこのあとも
言い合い続けて――
そして、
長々と言い合い、二人して笑いあったんだ――
まだ、この時の印象はよかったの。
言い合ってる最中は。
だけど…結局は―――