━好きになってはいけないヒト━


……そうして、深い深い眠りに入りそうになったとき。


『…………チッ、ここじゃねぇのかよ。マジでどこ行った?――先生、ここにはいないっぽい』


『――マジで?……じゃあ残りはそこだけだよな?』


『――そうっすね、多分。あ、壱樹のことなんで寝てると思います~』


――っ…は?


そんな二人の話し声が聞こえてきて、さすがにビックリしたし、さっきまであった眠気はどこかへ飛んでいき、ガバッと起き上がってしまった。


なんで俺を探しに来てるんだ?
そんなことを考えている間に、足音は徐々に近付いてくる。

もう、逃げ隠れする暇もないまま"ガラッ"と、扉が開く音が聞こえ


「――壱樹……っ、やっと見付けた」


隼人は俺の方を向いて、そんなことを言い、そのあと廊下に顔だけ出して、言った。


「……先生、やっぱいました」


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