━好きになってはいけないヒト━
「――最初は亜弥がずっと世莉に、"壱樹のとこ行ってきて"って言ってたんだ。けど…お互いの意見の言い合いをしてるだけになってて。結局先生が"行く"ってなって話が終わったから、先生が行くことになったんだ。まぁだから俺はあの2人のとばっちりをくらったってことだ」
隼人が渋々、といった感じで嫌そうな顔をしながらも説明してくれた。
亜弥と世莉の言い合いか――
その光景がモロ頭の中に浮かぶ。
凄そうだな………。
「――ったく、3年になって最初の登校日をサボるなよ。……生徒会長の藤吉?」
「……生徒会長は関係なくないですか?っていうか俺を探しに来る必要ありました?」
「俺は行く気なかった。……でもあの2人がうるさかったんだよ…。藤吉も、サボりがバレたくないなら、もっとわかりにくいところでサボれよ。それなら俺はなにも言わない……が、――今回は水樹が藤吉の居場所を知ってたからな~、残念だったな」
わかりにくいところでってアドバイスをする先生なんて、見たことないんだけど……
「――よし。藤吉も見付かったことだし教室戻るか」
「――――水沢先生、ちょっと良いですか」
教室へ戻ろうと、体の向きを変えた先生を無視し、話し掛ける。
ずっと頭の中がモヤモヤしっぱなしは嫌だから、先生にも"あのこと"を聞いてみることにする―…