━好きになってはいけないヒト━


先生が話を聞いてくれる姿勢になったので、さっき俺が世莉に聞けなかったことを話す。


「先生は世莉…、水樹と会うの、今日が初めてじゃないよね?」


真剣な顔つきで、先生を見る。


「―――…なんだそれ、俺が水樹と?会ったことない。まず初対面だしな…。藤吉、他のやつと勘違いしてないか?」


「――先生はそう言ってるけど、世莉からはそんな感じが全くしないんだよね」


「は?」


"だからなんだ?"という顔をしている先生に、苦笑してしまう。


引き攣った頬を少しでも緩めながら、話を続ける―――


「――まぁ、しばらっくれるとは思ってたけど」


「……待てよ、マジでなんの話だ?」


「だから、世莉と先生の話」


「だから、俺は水樹とは全く関係ないっつの。マジで誰と――」


「勘違いしてる?って俺は勘違いしてないよ」


先生のを話をすぐに遮り、ハッキリ言ったのは良いけど――。


あまり根拠といえる物がないんだよね………



< 64 / 68 >

この作品をシェア

pagetop