━好きになってはいけないヒト━
……わかんないよ。
だけど、あたしはこの男をなぜか心配してる。
だから話しかけようとしちゃう、
それだけだよね、
――きっと……
「――いいよ、べつに怒っても。だけど…あたしは正論しか言ってない……と思うから。だから怒れるもんなら怒ってみなさいよ」
「……あ゙?そーいう意味じゃねえっつの。てめ、ふざけんじゃねーよ?」
「ぶざけてないよ?」
「ふざけてるだろ、それかおまえ俺のことバカにしてるだろ?」
「……はぁ!?まああんた意気地無しだもんね……、バカにするところはいくらでもあるよ。だけどそんなことしたって意味ないもん!」
「意気地無し…、ね…。たしかにそうかもしんねーな。俺は―…そういう男だからさ。――てか、も~マジで他の出口から出てってくれ」
――は?
なに言ってんの。
この出口からが1番近いんだけどー。
「あのね、なんであたしがこの出口から出たいか知ってる?」
「は?なに言い出すんだよ急に。知るわけないだろそんなこと」
「だよね~。良いよ、教えてあげる。あたしね、家がそこの出口から道挟んで真ん前なの。それで、その出口はあたしが見つけた小さな出口。最初はもっと小さくて出入りしにくかったけどね」