-君に愛してると言いたい-
髪
髪を切ったその日。
私はタケルと会う約束をした。
美穂に呼び出された日、タケルからはなんと12件もの着信と、8件ものメールが入っていた。
誰かと話をする気になれなくて、ずっと延び延びになっていたタケルとの待ち合わせ。
やっと落ち着いた私。
時計に目を落として、顔をあげると。
金髪が走って来るのが見えた。
「マチ。待ったか?…って何、その髪型。」
なんだかわからないけど、無性に腹が立った。けなされた訳ではないとはわかっているのだけれど。
「待ったわよ、タケル。自分で呼び出したくせに遅刻して、あげくに開口一番そこに突っ込まないで」
「だって…、おまえ、それっ。はは、短すぎ。」
タケルは口も押さえず笑う。