-君に愛してると言いたい-
「…本当は、別れたくなかったんだよ、あたし。」

私は笑いながら言った。

笑える気分じゃなかった。
でも、無理にでも笑わなくては
きっと涙が落ちる。


でもね…
と言いかけた時、タケルが口を挟んだ。

「しょうがなかったんだよ、誰のせいでもないんだから」


堪えていた涙が出そうになる。

それを見たタケルは慌てて、紙ナプキンを差し出す。

「移動するぞ、人前で泣くな」

タケルは人目も憚らず、私の肩を抱く。

そうして私達は、タケルの家に移動した。



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