-君に愛してると言いたい-


確かに唯さんは、変なところで生真面目な人だった。

自分の死期を悟っていたのなら、そういうこともやりかねない。

大体、僕が唯さんの筆跡を間違えるはずがない。ずっと家庭教師してもらっていたのは兄貴ではなく僕なのだ。


僕は急いで、封を開けた。
鋏で切るのももどかしく、力任せに開けたために切り口が汚くなってしまったけれど。

そんなことに、かまっていられない。

唯さんの最期の言葉を。




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