蜜愛


目を閉じたら

セイタの手



呼吸、
汗、
腕の、傷。

そんなものばかりあたしのカラダが広い集めていく。



燃え上がるような太陽じゃなくて

今あたしを照らすのは、

夕焼けのような

寂寥感。

ひとつなのにサミシくて

ひとつだから苦しい。


あたしじゃなくて奥さんにも、こうするの?

あたしじゃなくて奥さんでも、感じる?

あたし、奥さんになれないの……?


気持ちが

彼の押し出すあたしのリズムに浮かび上がって、

『あ あ あ あ…… 』

それしか、

頭文字しか、

伝わらない。



『ダメ!ダメダメ!もうダメぇ……』


――駄目。
もう、こんな関係。

あたし。

あたしは、……



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