蜜愛
エビみたいな、
蜂の幼虫みたいな、
そのまだ人間と呼べる程の大きさもない
アイツの腹の中に宿る『オレ』は
オレと超音波のモニター越しに出会うたび
――ホントウニアナタガパパ、デスカ?
パパトヨンデモ、イイノデスカ?
そう、問いかけを繰り返してくるが、
オレは
ああそうだと強く頷いた。
――いや迷ってる。
アイツを疑っている。
けど、この猜疑心は今目の前で脈打つ小さな心臓に勝てない。
この『疑う』という行為はすなわち
このまだ蜜蜂の幼虫みたいなコレを
殺す
ということだからな。