蜜愛

イチコなんて名前、そういないはず。

年齢も彼女と同じくらいのこの人。


もしかしたら

もしかしたら

もしかしたら


また僕の、
『もしかしたら』エンドレス再生が始まる。


『あ、ちょっと!あのさぁ。イチコってさ、夏目イチコ?』

は?と彼女は困惑して

『え、いや、違うけど。鳴海イチコだけど?』

と答え。

また僕は、

だよな、だよな。
うんうん。
そりゃそうだ。
そんな偶然、あるわけないなと。

タバコに手を伸ばして火をつけようとしたら、


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