蜜愛
『はぁ~…いじめ、ねぇ……』
全く脈絡もないところから元の話題に戻したにも関わらず、
『そうよ!あのイチコって女はね、あたしの彼氏を誘惑して結局、とったんだから!!』
と、思い出して鼻息を荒くさせながらそう話す彼女を見て、
たった一言。
『ね。クラス会、行ってみなよ。イチコって奴が来ていたら、今の名字、聞いてみてくれないかい?』
とだけお願いして、
僕はさっさと彼女に背中を向けてジャケットをはおり帰り支度を始めた。