蜜愛
匡哉の指。

匡哉の声。

私が泡越しに見た彼の肌。


片足を浴槽の縁にかけて足を広げると、その向こうに。


――遠い、遠くない。


彼が揺らめいては消え……

それを繰り返しながら、

過去に時間が巻き戻されて、幻が形を持って私の指先と重なる。


……そう。そのまま。

続けて……

うん、そう。


完全に私の指が彼のものとなり、


あの日と全く同じ快感が襲う。


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