蜜愛
気の進まないフリをする私を遮って、蜜柑が
『ほんと~!?パパわたし行きたい!行きたい!』
と飛び上がって喜んだところから話は決まり、
私の小さな気を引くワガママも、気づかれることなく終わった。
『じゃあ、決まりだな。よし!蜜柑、新しい浮き輪を買いに行こう』
私は彼の言葉一つひとつにいちいちシックリこない思いで、
それでも娘の喜ぶ顔を見て満足げに頷く彼を
もしかしたら初めて『父親』としてみてあげたのかもしれない、
そんな冷たい私を私が、責めた。