蜜愛

それからしばらくは、何事もなく過ぎる日々。

週三日しか働かないパートだ。

……しかも、五時間だけ。

だから、会えないとしてももっともだった。

だけど。

もしあたし達が、もう一度会える本当の縁みたいなものがあれば。


彼は必ず見つけてくれる。

あたしを、見いだしてくれる。

そんな盲目的な思いが、ひたすらあたしの背中を押した。


――そして。

働き始めて二カ月。

品だしをしているあたしの後ろに立ち、
『タマコ、だよな』
と声をかけたその人が、セイタだった時。


< 183 / 421 >

この作品をシェア

pagetop