蜜愛


――こんなところまで

波が押し寄せてくるとは思わずに


あたしは腰をおろした。


砂の上。

お尻の形にくぼむ地面。


砂の粒に

埋まった足が

次は波に

飲まれてく。


助けて……?

いいえ。


サラッテホシイ。

この快感でずっと。
あたしの渦潮にのまれて。



満潮に似た

溺れるような想いに、

あたしはただ。



彼に言われるまま

何もかも従うより他、なかった。


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