蜜愛

その時。


僕からさほど遠くない場所で物音がした。

僕みたいな物好き、やっぱりいるんだなぁ。

……夏の海。


人のを覗き見るのってこんなにドキドキするんだなぁ。

僕はそのドキドキを共有した『同士』を探した。

名前も顔も知らないけど。


同じものを見て興奮しちゃったヤツの顔が見たかった。



すると。

いた。女だった。名前も顔も知っているかもしれない。暗くて定かではないが。それでも。何度も暗闇の中で抱いた。その夢も見た。あの人。



イチコ、だった。




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