蜜愛
こっそりテントに戻ると。
シンは寝ていた。
何にも知らない顔で。
アタシは、起こさないように、そっと隣に潜り込んだ。
セイタとシンの、
穏やかな寝息。
そして。
繰り返される規則的な、
波音。
海に来て、良かった。
とうとう、セイタに、
息子を会わせてあげることが、できた。
アタシは、さっきまでの
セイタの腰から生まれた波で揺らされたカラダから
紡ぎ出され、絞り出された自分の声を
波音に重ねて聞いた。
思い出してはまた、
隣のテントにいるセイタに再び抱かれたくて、
黙っていられなくなりそうで。
シンにしがみついた。